歯周病の原因と、歯を支える組織の変化

歯周病は、歯垢(プラーク)に含まれる細菌が関わる、歯ぐきや歯を支える組織の炎症性の病気です。進行すると歯を支える骨が失われ、歯が揺れたり、抜歯が必要になったりすることがあります。一方で、初期には強い痛みが出ないこともあり、自分では気づきにくいのが特徴です。このページでは、歯周病と歯肉炎の違い、細菌との関係、骨が失われる仕組みを解説し、歯を失う原因や年齢別の歯の本数を調査データから考えます。

 

歯周病とは、歯ぐきだけの病気ではありません

歯は、あごの骨に直接埋め込まれているわけではありません。歯の根の表面を覆うセメント質、根と骨の間にある歯根膜、歯槽骨、そして歯ぐきなどの組織によって支えられています。これらをまとめて歯周組織と呼びます。歯周病では、この歯周組織に炎症が起こります。

歯肉炎と歯周炎の違い

炎症が歯ぐきにとどまっている状態を「歯肉炎」といいます。歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きで出血したりしますが、歯を支える骨や付着組織の破壊は生じていない段階です。歯垢による歯肉炎では、適切に原因を取り除き、清掃を続けることで改善が期待できます。

炎症に伴って歯の支持組織が破壊された状態が「歯周炎」です。歯周炎になると、腫れが引いたとしても、失われた骨や付着組織まで自然に元どおりになるとは限りません。「歯ぐきの腫れが治まったから大丈夫」と判断せず、検査で状態を確認することが大切です。

歯肉炎から歯周炎へ進む過程と症状を見る

日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病?

歯を失う原因には、歯周病、むし歯、歯の破折などがあります。8020推進財団の「第2回 永久歯の抜歯原因調査」(2018年)では、抜歯の主な原因のうち歯周病が37.1%で最も多いという結果でした。歯周病は、永久歯を失う大きな原因の一つといえます。

この数値は、調査に協力した歯科医院で抜歯された永久歯について、主な抜歯理由を調べたものです。「日本人の37.1%が歯周病で歯を失う」という意味ではありません。また、年齢や歯の種類によっても抜歯理由の内訳は異なります。調査が示すのは、むし歯の予防とともに、歯周病への対応も歯を保つための重要な課題であるということです。

むし歯が少なく、歯そのものが大きく欠けていなくても、周りの組織が失われれば歯を支えることは難しくなります。歯の表面だけでなく、歯ぐきや骨の状態にも目を向けましょう。

出典:8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書」(2018年・PDF)

日本人は80歳で15本程度の歯しか残らない?

残っている歯の本数は、調査年や対象年齢によって変わります。「80歳で15本程度」という数値を、そのまま現在の日本人の状態として捉えることはできません。厚生労働省の令和6年(2024年)歯科疾患実態調査では、80~84歳の平均現在歯数は19.1本でした。これは80歳だけを調べた平均ではなく、80~84歳という年齢階級の全国補正値です。

「平均本数」と「20本以上ある人の割合」は別の指標です。

同調査では、80歳で20本以上の歯を持つ人の割合は61.5%と推計されています。この割合は、75歳以上85歳未満の数値から推計したものです。

これらは集団全体の傾向を示すデータであり、一人ひとりの将来の歯の本数を決めるものではありません。年齢だけを理由に歯を失うことを当然と考えず、今の歯ぐきの状態を把握し、必要な治療や毎日のケアを続けることが大切です。すでに歯を失っている方も、残っている歯をどのように保つかを相談できます。

出典:厚生労働省「令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要」表15・表17(PDF)

歯周病は細菌による感染症?

歯の周囲に付着する歯垢を説明するイラスト 
歯垢は、細菌が集まってできるバイオフィルムです。

歯周病は細菌感染が関わる病気ですが、一種類の細菌だけで発症や進行のすべてを説明できるわけではありません。歯垢の中の細菌の状態と、それに対する体の反応、喫煙や糖尿病などの要因が関係します。「歯周病菌を一度除菌すれば、その後は心配ない」という病気ではありません。

歯垢は、単なる食べかすではありません

歯垢は、細菌が歯の表面に付着して集まり、膜のような構造を作ったものです。この構造をバイオフィルムといいます。食後にうがいをするだけでは十分に落とせず、歯ブラシや歯間清掃用具で取り除く必要があります。歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、奥歯の周囲などは清掃が難しく、歯垢が残りやすい場所です。

歯石には、さらに歯垢が付着しやすくなります

歯垢が石灰化して硬くなったものが歯石です。歯石の表面は細菌が付着しやすく、ご家庭の歯磨きでは取り除けません。歯科医院では専用の器具で除去します。歯石を自分で削ろうとすると歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあるため、気になる場合は受診してください。

歯石を除去しても、毎日の清掃で歯垢を取り除けなければ再びたまりやすくなります。歯科医院の処置と、ご自身に合ったセルフケアを組み合わせることが治療の基本です。

歯周病は、歯を支える骨を失わせます

歯と歯ぐきの境目に歯垢がたまり、炎症が続くと、歯を支える組織の破壊につながります。歯と歯ぐきの付着が失われ、歯周ポケットが深くなると、歯ブラシが届きにくい場所に細菌が残りやすくなります。清掃の難しさと炎症が重なり、病状が進むことがあります。

一般に「歯周病で骨が溶ける」と表現しますが、むし歯のように酸で歯が溶ける現象と同じではありません。細菌に対する炎症反応などに伴って骨の吸収が進み、歯を支える歯槽骨が減ることを指します。支持が少なくなると、歯が揺れる、噛みにくい、歯の位置が変わるといった問題が生じる場合があります。

歯ぐきの表面を見ただけでは、骨がどの程度残っているかはわかりません。歯周ポケットなどの検査と、必要なエックス線検査を組み合わせて判断します。歯が揺れてから受診するのではなく、出血などの段階で調べることが、状態を早く把握するきっかけになります。

歯周ポケットや骨の状態を調べる検査について

歯磨きだけでなく、喫煙や全身の状態も関係します

歯周病への対策では、歯垢を減らすことに加え、進行に関わる要因を確認します。喫煙は歯周病のリスクを高め、治療への反応にも影響することがあります。糖尿病がある方は血糖の状態も重要です。歯周病と糖尿病は互いに関係するため、歯科と医科の両方で状態を共有することが役立ちます。

歯並び、被せ物の形、手指の動かしにくさなどによって、清掃の難しい場所が生じることもあります。「毎日磨いているのに」と感じる方は、磨く回数だけでなく、道具の大きさや当て方、磨き残しの場所を確認してみましょう。治療中の病気や服用中のお薬についても、受診時にお伝えください。

歯周病についてよくあるご質問

若くても歯周病になりますか?

歯周病は高齢の方だけの病気ではありません。若い年代でも歯肉炎や歯周炎が見つかる場合があります。年齢にかかわらず、出血や腫れが続くときは検査を受けましょう。

痛くなければ、まだ治療は必要ありませんか?

痛みの強さと進行度は一致しません。目立った痛みがなくても支持組織の破壊が進んでいる場合があるため、治療が必要かどうかは検査結果から判断します。

市販の歯磨き粉だけで治せますか?

歯磨き粉は日常の清掃を補うものですが、歯石を除去したり、失われた歯の支持組織を元に戻したりするものではありません。病状に合った歯科治療と、適切な清掃方法が必要です。

歯ぐきの変化が気になる方は、スマイル歯科クリニックへご相談ください。

アリオ深谷2階。検査で現在の状態を確認し、必要な対応を考えます。

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