歯周病の治療

院長より

歯周病は、口腔内の細菌が歯肉や歯周組織に感染し、進行すると歯を支える組織を破壊してしまう深刻な疾患です。歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、放置すると進行して歯を失う原因となります。当院の目指す歯周病治療は、早期発見と的確な治療を通じて、皆さまの歯と歯ぐきを健康に保つことです。口腔内の健康は全身の健康にも大きく関連しています。歯周病の早期治療は、将来的な歯の保持と、心身の健康をサポートする重要なステップです。当院の歯周病治療では、丁寧なカウンセリングを通じて、患者様のお悩みや症状をしっかりとお伺いします。最新の診断機器と研究に基づいた治療法を導入し、患者様お一人おひとりに合わせた個別の治療計画を立案します。

また、治療だけでなく、予防にも力を入れております。定期的な検診やプロフェッショナルな歯のクリーニング(PMTC)を通じて、歯周病の早期発見と予防に努めています。歯周病治療は、長期的なプロセスを要することもありますが、私たちは患者様と共に歩み、持続的な歯と歯ぐきの健康をサポートいたします。どんな些細な症状でもお気軽にご相談ください。皆さまの健康な笑顔が私たちの喜びです。皆さまのお口の健康と全身の健康をお守りしたいと考えています。どうぞ安心して当院の歯周病治療をご受診ください。お待ちしております。

日本人は80歳で15本程度の歯しか残らない?

大人の歯は全部で28本(親知らずも入れたら32本)です。ところが80歳になると平均で15本程度しか残りません。1980年代には5本だったことを考えるとだいぶ良くなりましたが、それでも半分近い歯を失ってしまっている計算になります。自分の歯が半分近くなくなってしまったことを想像してみてください。なかなか食事もおいしく噛めないかもしれません。
歯科医療先進国であるスウェーデンなどでは20本以上残るといわれています。20本以上の歯があれば食事で不便を感じることは少ないでしょう。
では、どんな原因で歯を失うのでしょうか。

日本人の歯を失う原因1位は歯周病です

歯を失う原因にはいろいろありますが、主な原因として、「歯周病(約40%)」「むし歯(約30%)」「歯根破折(約10%)」があります。そして、日本人の歯を失う原因の1位は歯周病なのです。歯周病は成人の80%程度がかかっているといわれています。また、40歳まではむし歯、40歳を過ぎると歯周病で歯を失うことが多くなる傾向があります。では歯周病とはどのような病気なのでしょうか。

 

歯周病は細菌による感染症?

歯周病は細菌(歯周病の原因となる細菌)による感染症の一種です。歯周病菌は歯面にくっついてネバネバとした物質を出し、バイオフィルムを作ります。このバイオフィルムがバリアーのような役割をし、その中で歯周病菌は増殖します。これを「歯垢=プラーク」といいます。つまりプラークは決して単なる食べかすなどではなく、おびただしい数の細菌の集合体なのです。ブラッシングなどを怠り、このプラークを放置すると、嫌気性細菌(空気を嫌う細菌)である歯周病菌は歯と歯茎の隙間に入り込んでいきます。

歯周病は歯を支える骨を溶かしてしまいます

歯と歯茎の隙間に入り込んだ歯周病の原因となる細菌は、やがて歯と歯茎のくっつきを剥がしていきます。こうしてできた隙間のことを「歯周ポケット」と呼んでいます。歯周ポケットが深くなればなるほど、ブラッシングで清掃しずらくなるので、歯周ポケットの奥にプラークが残ってしまうようになります。そしてさらに歯周病菌は歯周ポケットを深くしながら奥へ奥へと入り込んでいってしまいます。歯周病菌は毒素を出し、歯を支える骨(歯槽骨)はその毒素や感染から逃げるように退縮していきます。このことを「歯を支える骨が溶ける」などと言ったりします。歯槽骨の退縮が進むと、やがて歯を支えることができなくなり、歯はグラグラと動く(動揺)ようになります。そして、やがて歯は抜け落ちてしまいます。

歯周病の検査方法

プロービング

歯周病の検査をするには、歯周ポケットの深さを測る「プロービング」というものがあります。プロービングでは、「プローブ」という器具を使用して、1本1本の歯の周りを数カ所ずつ、歯周ポケットの深さを計測します。計測結果は、専用のシートに記録していきます。このことによって、どの歯のどの部分の歯周ポケットが深くなっているかが判明し、治療計画を立てやすくなります。

X線検査

歯槽骨の破壊の程度をX線による画像でも確認します。パノラマレントゲンやデンタルレントゲンなどがあります。状態によってはCT撮影を行うこともあります。

細菌検査

歯周病の検査では細菌検査を行うこともあります。細菌検査ではどのような種類の細菌が、どのような割合で存在しているかが明らかになります。

口腔内写真

歯周病の検査では口腔内写真を撮影する場合もあります。口腔内写真では、歯茎の色なども記録できますので、治療が進むにつれての歯肉の状態の変化を確認しやすいメリットがあります。

歯周病の治療

TBI(ブラッシング方法の指導)

歯周病の治療に、ご自身で行う毎日のブラッシングは欠かせません。かといって自己流のブラッシング方法では、プラークの取り残しが発生しがちとなり、その部分は特に歯周病が進行してしまうといった事にもなりかねません。TBIでは、歯科衛生士が、薬剤でプラークを染め出し、正しいブラッシング方法をご指導させていただきます。

スケーリング・ルートプレーニング

スケーリングとは「歯肉縁上」といって、歯茎から上の見えている部分の歯石除去のことをいいます。手用スケーラーや超音波スケーラーという専用の器具を使用して、歯石を綺麗に除去します。
対してルートプレーニングは「歯肉縁下」といい、歯茎の下の見えていない部分の歯石除去のことをいいます。ルートプレーニングでは、処置を行う場所をいくつかのパートに分け、数回に分けて行います。痛みを感じないように麻酔をかけて行います。
特に歯茎の奥にある歯石を放置すると、歯石にはプラークがつきやすくなるため、歯周病を進行させてしまうことになります。スケーリングとルートプレーニングで、可能な限り歯石を除去して、歯面をツルツルにしてプラークが付きにくい環境をつくることも大切なのです。

歯周外科処置

時に歯周外科処置を行うことも有効です。歯周外科処置(フラップ手術)では、麻酔をかけて歯茎を切開し、肉眼で目視しながら、歯茎の奥にある除去しにくい部分の歯石やプラークを除去します。

定期的な治療

歯周病の治療は一回で終わりという物ではなく、生活習慣や様々な要素の絡み合って、お一人おひとり、進行の度合いも症状の出方も異なります。また、非常に再発しやすい為、定期的な治療を受けて、口腔内の健康をコントロールすることが大切なのです。