CAVITY CARE

痛みの強さだけでは、
むし歯の深さはわかりません。

むし歯は、歯の表面の変化から始まり、進行すると内側の象牙質や歯髄にも影響が及びます。ただし、どの段階でも同じように痛むわけではなく、痛みがなくても治療が必要な場合があります。歯をできるだけ保つためには、目で見える穴やご自身の感覚だけで判断せず、検査で状態を確かめることが大切です。このページでは、初期の変化から歯が大きく失われた状態までを整理し、段階に応じた対応の考え方をご紹介します。

エナメル質のむし歯を示した歯の断面図

歯の構造と、むし歯が進む方向

お口の中に見える歯の表面は、硬いエナメル質で覆われています。その内側に象牙質があり、さらに中心には、神経や血管を含む歯髄があります。むし歯がどこまで及んでいるかで、歯への影響や必要な治療が変わります。歯ぐきが下がって歯の根が露出している部分では、歯冠部とは違う条件でむし歯が起こることもあります。

進行の説明に使うC1〜C4は、主に歯の組織がどの程度影響を受けているかを示す目安です。同じ分類でも、穴の大きさ、清掃のしやすさ、病変の活動性、歯髄の状態は異なります。番号だけで治療法や通院回数が決まるものではありません。

初期のむし歯と、要観察歯のCO

歯の成分が失われ始めても、表面の形は保たれ、明らかな穴がない段階があります。白く濁って見える場合や、歯の溝に着色がみられる場合がありますが、変色だけでむし歯と断定はできません。表面の状態や病変の広がりを確認し、削る処置が必要か、予防と経過観察で管理できるかを判断します。

学校健診の「CO」は、英字のオーです

学校歯科健診で使うCO(シーオー)は、要観察歯を表します。明らかな穴は確認できないものの、初期むし歯を疑う変化などがあり、継続的な観察や必要な精査を行う歯です。一般向けの説明で初期むし歯を「C0(シーゼロ)」と表現することもありますが、健診の記号であるCOと、数字の0は区別します。

穴があく前には、削らずに管理できる可能性があります

フッ化物の利用、歯の清掃、飲食の習慣の見直しによって再石灰化を助け、病変の進行を抑えることを目指します。これは、変化がないかを定期的に確認することまで含めた対応です。何もしなくても自然に治るという意味ではなく、すべての変色が必ず元の色へ戻るとも限りません。

参考:佐賀県歯科医師会「要観察歯CO(シーオー)について」

C1|エナメル質にとどまるむし歯

C1は、むし歯が歯の表面のエナメル質にとどまる状態を表します。エナメル質には神経がないため、一般に痛みを自覚しにくい段階です。歯の溝や歯間の変化は、ご自身では見えないこともあります。症状が少ないからこそ、受診時の観察や必要な画像検査が判断の手がかりになります。

対応を考える際には、実際に穴があいているか、病変が活動しているか、日常の清掃ができるかを確認します。穴のない病変は、予防処置と経過観察で管理できる場合があります。一方、形が崩れて汚れを取り除きにくい場合などには、必要な範囲を処置し、コンポジットレジンなどで修復することを検討します。

C1といわれても、必ず削ると決まるわけではありません。また、エナメル質の小さなむし歯であることだけを理由に、歯全体を覆う被せ物を選ぶわけではありません。歯の残り方やほかの問題を含めて判断します。

C2|象牙質まで広がったむし歯

エナメル質の内側の象牙質までむし歯が及ぶと、C2と表現します。冷たいものや甘いものがしみる、食べ物が詰まるといった症状が出ることがあります。ただし、象牙質まで進んでも痛みを感じない場合はあります。表面の穴が小さく見えても、内側で病変が広がっていることがあるため、見える大きさだけでは判断できません。

修復が必要な場合は、病変の範囲や残っている歯質に合わせて、直接詰めるレジン、型などをもとに製作する詰め物・被せ物を検討します。深いむし歯では、歯髄に近い部分をどのように処置するかが重要になります。歯髄を守る処置を検討できる場合もありますが、その適応は症状や検査結果から判断します。

「しみる程度だからまだ待てる」と考えている間に、治療範囲が大きくなることがあります。一方、しみる原因がむし歯とは限らないため、市販品で知覚過敏のケアを続ける前に、原因を確かめることが大切です。

C3|歯髄に影響が及んだむし歯

むし歯が深く進み、歯の中心にある歯髄まで影響が及んだ状態を、C3と表現します。何もしていなくてもズキズキする、温かいものがしみる、夜に痛みが強くなるなどの症状が起こる場合があります。痛みの出方は一様ではなく、強く痛むことも、はっきりした症状がないこともあります。

歯髄を残せるかどうかを確認します

深いむし歯でも、歯髄の状態などの条件が合えば、歯髄の全部または一部を残す治療を検討できる場合があります。一方で、歯髄が壊死している場合や、保存が難しい炎症・感染がある場合は、歯髄を除去して根管内を清掃・消毒する治療が必要になります。C3という記号だけで、すべての歯に同じ処置をするわけではありません。

歯髄を残す処置を行った場合も、その後に痛みや炎症が生じ、根管治療へ移ることがあります。保存の可能性と限界を説明したうえで方針を考え、処置後の反応も確認します。歯の根の治療については、根管治療のページをご覧ください。

C4|歯の見える部分が大きく失われた状態

むし歯によって歯冠部が大きく崩れ、主に根が残った状態をC4と表現します。噛むための形が失われ、歯ぐきの腫れや膿を伴う場合があります。歯の根の内部に感染が残ると、根の先の周囲にも炎症が生じることがあります。痛くなくても、そのままでよいとはいえません。

歯を残せるかは、健全な歯質がどれだけ残っているか、歯根に破折がないか、周囲の骨や歯ぐきがどうなっているか、修復後に清掃と機能の維持ができるかなどを確認して判断します。保存が難しく抜歯が必要になることはありますが、C4という言葉だけで必ず抜歯と決まるわけではありません。

一方で、残すことを優先しても、十分な見通しが得られない歯もあります。残せる可能性と、保存した場合の負担や再治療のリスクを確認し、お口全体の状態も踏まえて考えることが大切です。歯が欠けた部分を自分で削ったり、接着剤で補修したりせずにご相談ください。

痛みがなくなっても、むし歯が治ったとは限りません

強く痛んでいた歯が、ある時から痛まなくなることがあります。刺激が一時的に減った場合もありますが、歯髄が壊死して痛みを感じにくくなっている可能性もあります。痛みが消えた理由はご自身では判別できません。以前の症状や、いつから変わったかも、診察時にお伝えください。

歯髄を除去した歯も、残った歯質にむし歯が起こることがあります。冷たいものがしみないため発見が遅れる場合があり、詰め物や被せ物の周囲の確認を続けることが大切です。また、根の周囲の組織には感覚があるため、神経を取った歯でも、噛む痛みや腫れが出ることがあります。

強い痛み、顔や歯ぐきの腫れ、発熱などがあるときは、予約時に症状をお伝えください。腫れが急に広がる、飲み込みや呼吸が難しいなどの場合は、速やかに医療機関で対応を受ける必要があります。

進む速さは、お口の環境によって異なります

むし歯が次の段階に進むまでの期間を、何週間・何か月と一律に示すことはできません。歯の種類や部位、病変の状態、唾液、清掃や飲食の習慣などによって異なるためです。生えて間もない歯や露出した歯の根などでは、その部分に合った予防が必要です。過去の記録と比べて、変化を確認することが役立ちます。

「今は削らなくてよい」と説明された歯も、その後の確認が不要になったわけではありません。次の受診時期とご自宅でのケアを確認し、しみる・欠ける・食べ物が詰まるなどの変化があれば予定を待たずにご相談ください。スマイル歯科クリニックでは、検査結果をもとに、歯の状態に合う対応を一緒に考えます。

参考:日本歯科医師会「むし歯」日本歯科医師会「むし歯の治療法」厚生労働省「むし歯の治療の流れ」米国歯内療法学会「Vital Pulp Therapy」

モニターを使ってお口の状態を説明する院長

痛みが出る前の変化も、ご相談ください。

気になる歯の状態を確認し、今できる治療と予防を考えましょう。

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